創立趣旨
カモノハシ協会のプロジェクトの目的は、自己批判と自己教育であり、最終的には、マルクス主義的左翼の実践的再活性化をもたらすことである。現在のところ、マルクス主義的左翼は歴史的廃墟として現れている。今日の支配的な通説は、失敗に終わった解放への試みを、いまだ果たされていない可能性に満ちた局面としてではなく、むしろ「過去」の出来事、悲劇的に終わる運命にあった空想主義として喧伝する。この敗北した伝統を批判的に引き継ごうとしている団体として、カモノハシ協会は主張する。60年代の新左翼の失敗と、80年代〜90年代の福祉国家の解体とソビエト連邦の崩壊の後で、現在の左翼の方向喪失が意味するのは、われわれが社会的解放の任務と目標を昔の「夢想家たち」が理解していたよりも優れた形で理解できているとはほとんど言えないという状況である、と。
われわれの課題はマルクス主義的左翼の再活生化に向けた批判と教育である。われわれは、現在あるかたちでのマルクス主義的左翼という廃墟は大部分みずからのせいで敗北した伝統的勢力に属し、それゆえ、現在のところ、以前と全く同じように繰り返すことはできない「歴史的」なものであると主張する。左翼がひどく分解した状態にあるため、首尾一貫してプログラム化された社会的政治的要求を起草することは非常に難しくなってきている。破局的な過去と現在に直面して、マルクス主義左翼を解放の勢力として再構成するための最初の課題は、マルクス主義の歴史的敗北の理由を認識し、そして現在と未来のためにマルクス主義的左翼の必要性を明らかにすることである。左翼が世界を変革しようとするなら、まず自分自身を変革しなければならない!
可能性は低いが決して不可能ではない解放に向かう左翼の再構成は緊急な課題であるし、人類の将来はこの再構成にかかっているとわれわれは考える。近代社会が解き放った破壊的勢力である資本主義が存在し続けている一方で、社会的解放という果たされていない約束は未だにその成就を求め続けている。この課題を放棄するか、もしくは近代社会の力学の「外」からの「抵抗」を当てにすることによって過去の敗北の重大性を覆い隠すという行為は、資本主義の破壊的現状を肯定し、継続させることに他ならない。
カモノハシ協会は次の問いを立てる。近代社会の批判理論家であるマルクス、ルカーチ、ベンヤミン、アドルノなどの思想は、今日における社会的解放のための闘争とどう関係するのだろうか?われわれは現在にまでいたるこの疲弊した左翼の政治の長い歴史の意味をーそれはレーニン、ルクセンブルク、そしてトロツキーによる国際的マルクス主義左翼の後、今日不毛な状態になる過程のであるがーこの歴史によって失望したり恐れたりせずにどのように理解すれば良いのだろうか?さらにこのような問いへの答えは、理論と実践というそのもっとも根本的な次元において、左翼の再構成という緊急の課題にどのように役に立つのだろうか? 左翼がなりさがった行き詰まりからの脱出をもたらすのに、われわれはどのように貢献できるのだろうか?
われわれは、現在のところ不在である解放を目指す政治実践をあらためて建設する助けとなるために、かねてより老衰と沈黙に陥ってきた左翼についての対話を再活発化することを望む。
左翼とは何だったのか、そして将来において何になれるのか?カモノハシ協会が存在するのは、そのような問いに対する答えが、その基本的な回答さえも、すでに久しく自明でなくなっているためである。